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遅ればせながらあけましておめでとうございます。

年明けの挨拶をするにはあまりにも遅くなってしまいました。
遅ればせながら日本の皆さんに2021年を振り返って色々とご報告したいと思います。




日独職業観念の違い
昨年を語るには”カルチャーショック”という言葉が一番ふさわしい言葉なように思います。
ベルリンに暮らし2年4ヶ月が経ちましたが、1年目に気付かなかった両国間にあるギャップに直面しました(ベルリン以外のドイツを知らないので私がいう”ドイツ(人)”というのは”ベルリン(人)”であるということを前提にお伝えしておきます)。

それは昨年2021年にシェア工房から自分一人だけの作業場を持つことができ、設備投資する中で業者と直接やり取りする機会が多くあった中で気付きました。その過程でドイツ人の持つ職業観念に直面し、思ったように進まないことが多くありました。

一体誰が言い始めたのでしょう。
「日本人とドイツ人は似ている(恐らく働き者、真面目であるという点で)」。職業観念の視点からいうと全く似ていません。私の経験上彼らの殆どは仕事が遅く、真っ当に仕事をしてくれない。いわゆる”プロ意識”を持っている人が少ない。
ここで私がいう彼らというのは、私の仕事に関わる配送業者、陶芸材料機材を扱う業者、電気工事業者、それ以外の日常に関わるものだと役所、携帯キャリア業者等、多岐にわたります。なので、普段違う業種に接している人とはこの点において意見が違うかもしれません。
”生活の為に仕事をする”というスタンスがドイツに浸透しているのはわかっています。でも、その職業を自ら選んで看板を掲げた活動しているのなら己が決めた営業時間の間だけは誠実に仕事をしてほしい。笑

同時に学ぶこともありました。
根付いている職業観念を変えることはできないので、そんな彼らと円滑に仕事をするにはどうするか。
以前は業者に対して不満がある時は理路整然と簡潔に要求を伝えていました。ビジネスシーンで相手方に意見を伝えるのに何故感情をのせる必要があるでしょう。言葉で十分なはず(じゃないと何の為に言語が存在するんだろう)。でもこれが通用するのは同じマインドを持った人にだけというのがわかりました。
これはビジネスシーン以前のそもそものドイツ人のコミュニケーション方法の話ですが、彼らは良くも悪くも真っ直ぐに感情を伝えます。それが一般的なカルチャーに身を投じて生きているのなら「郷に入りては郷に従え」です。
私は電気窯の購入を考えていた業者のあまりにも遅い対応に溜まりに溜まっていたストレスを電話口で吐き出しました。それ以前に不満はその都度伝えていたのですが、早い段階で怒りの感情をのせなかったことがよくなかった。
あれほど憤怒したことは今迄の人生でそうありません。電気窯の購入の遅れは死活問題に関わります。陶芸家として生計が立てれない=ドイツでの生活が危ぶまれる、相当なストレスでした。その業者は50代後半と思わしきドイツ人男性でしたが彼を電話口で泣かしてしまったくらい私は激高!ですが、この件をきっかけに話が驚く速さで進み、あっという間に窯の購入にたどり着けました。
私の運がよくないのかもしれませんが、上記で述べたように仕事・生活で関わるあらゆる業者に似た傾向が見られます。勿論がむしゃらに怒るのではなく状況や緊急性など色々鑑みる必要があります。あくまで怒りという感情を利用して冷静であること。お客さんに食って掛かってくるのもドイツのサービスでは多々あり、怒りと怒りの衝突戦になることもあります。ビジネスシーンで信じられない話ですが、ドイツ社会で生き抜くというのはこういうことに常日頃向き合い戦うということ。
以上からわかるように日本のサービスの質をドイツ人に求めるのはナンセンスなわけで、前提として国柄も国民性も文化も全く違う異国であるということを理解しておく必要があります。その違いを知る過程で文化、常識、コミュニケーション方法を学び、そして実践し歩み寄る柔軟性を持つことが快適に暮らしていく方法なのかなと思います。


初海外出張
苦い経験はあったものの、それは前進している証だと自分では受け取っています。
一つ前進があった出来事として、昨年はスペインはバルセロナでの出張ワークショップが一番記憶に残ります。
きっかけは、スペインから師匠橋本忍のところへ短期修業をしにやってきたジュリアとの出会いに遡ります。→当時のブログ
私は当時ドイツに向かう準備をしていた頃で、師と彼女の間に入って英語のやり取り、宿探しのサポート、食事に行ったりする中で彼女と交流を深めました。
そんな彼女も陶芸家として生きていく決意を固め、自分の工房をバルセロナに構えたのが昨年2021年。札幌で約束した、いつか一緒に仕事しようという話が2年越しで実現。二日間に渡るティーポットのワークショップはお陰様で満席になりました。


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制作前に構造と機能の話


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ティーポットボディ成形の様子


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参加者の皆と


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出産を経て子育てしながら陶芸ビジネスをキビキビ行っているジュリア。
独身だった頃の時間の自由が恋しいと度々溢していました。




そして今年夏頃に約一週間にわたるワークショップをまた彼女の工房で開催予定です。今回は基礎をしっかり勉強でき、それを踏まえた上で大皿やティーポットなどの発展的なものを制作する内容にしています。告知は以下SNSでさせて頂きます。

出張ついでに色々観光しましたが、なるほど。スペインがドイツ人に人気な観光地である理由がわかりました。
食べ物が美味しい、人がのんびり、気候が温暖。ドイツにはない華やかさやゆとりがある国ですっかり気に入ってしまいました。



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サグラダファミリア



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ピカソ美術館
陶芸作品の展示セクションにて

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彼の自由でのびやかな作風が楽しい



今年の予定
スペインのワークショップ以外にも、自分の工房で毎月数回手びねりワークショップを開催してかれこれ1年以上続いています。
まだ今の工房に満足していないのでいずれはもっと広い工房に移り、生徒が電動ロクロを使っての制作もできるように設備投資をしていく方向で考えています。
お陰様で講師業は順調ですが、基本の作家活動も地道に続けています。昨年は選り好みせずあらゆるイベントで展示販売し、人目に触れることの重要性を再確認しました。ありがたいことに、ドイツ国内外からの注文が少しずつ伸びてき、揺るがず自分を信じてきた甲斐があったなと思います。
これからも進化をやめずに活動を継続していきます。
また、日本への作品発送を再び開始しました。以下オンラインストアからご覧頂けます。

日本への一時帰国の目処はまだ立っていませんが、その折に展示会が行えたらと考えています。
以上一年振り返っての報告でした。
ではまた。


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by chibamariko | 2022-01-27 06:00 | プライベート